サマータイムマシンブルース
公開年 | 2005年 |
上映時間 | 107分 |
監督 | 本広克行 |
脚本 | 上田誠 |
出演 | 瑛太 |
上野樹里 | |
与座嘉秋 | |
川岡大次郎 | |
ムロツヨシ | |
真木よう子 | |
佐々木蔵之介 |
あらすじ
「カッパ伝説」とお遍路が観光資源である、四国のある地方都市の大学。
SFに興味がなく、草野球やテレビゲームに明け暮れている男子学生5人のSF研究会(以下、SF研)と、写真の腕前がよくない女子学生2人のカメラクラブは、部室を共有していた。
夏休み中にもかかわらず、SF研は遊ぶため、カメラクラブは展示会の準備のため、毎日部室に通っていた。
2005年8月19日。草野球後銭湯で汗を流したあと、他のSF研部員とは遅れて部室に戻った甲本は、他の部員たちから突然「約束の罰ゲーム、裸踊りを見せてもらおう」と告げられ、困惑する。
盛り上がっている部員たちの体がぶつかり、はずみでSF研部員の新見が持っていたミニペットボトルのコカ・コーラが、エアコンのリモコンに激しくかかり、リモコンは故障してしまう。
エアコンは旧型で、リモコンがなければ操作することができなかった。
夏休み中のため、学生自治会は誰もおらず、代替品の調達もできなかった。
そこで部員たちは、研究のため学内にいたSF研顧問で大学助手の通称「ホセ」に修理を頼む。
2005年8月20日。
カメラクラブの2人が、暗室で昨日撮った写真を現像していると、ある1枚の写真に、野球をしているSF研の下級生・曽我の姿と別に、校舎の陰にもうひとりの曽我が写っているのを発見して驚く。
一方、猛暑で悩むSF研部員たちは、ガラクタだらけの部室の隅に、見慣れない謎の乗り物状の機械があることに気づく。
操作盤の形状からタイムマシンを模したオブジェだろうと判断したSF研部員たちは、暇つぶしに曽我を乗せ、たわむれにスイッチを入れた。
すると乗り物は、曽我とともに姿を消し、すぐに再び姿を現した。
曽我はパニック状態で混乱しつつも、「自分は『昨日』に行ってきた。部室に誰もおらず、自分を含めたSF研部員たちが草野球に興じ、それをカメラクラブの2人が撮影しているのを見た」と証言した。
タイムマシンが本物であることを確信したSF研部員は歓喜し、そして完全に浮かれいつの時代へ行くか意見交換が始まった。
しかし、曽我が一度使っただけで万が一戻ってこれなくなることを想定して、一番近い過去である「昨日」へ行くことに。
すると石松は「『昨日』に行くなら、壊れる前のリモコンを取ってくるのはどうか?」というアイディアを出し部室内は盛り上がる。
石松は新見・小泉を引き連れ、「昨日」に行く。
「昨日」に着いた新見・小泉・石松は、タイムトラベルに興奮するあまり当初の目的を忘れ、面白半分で「昨日」を探索しようと、大学周辺を歩き回り、「楽しいから来いよ」との書き置きを貼り付けた空のタイムマシンを「今日」に送る。
一方「今日」では、田村と名乗る若い男が部室に現れ、「自分は2030年のSF研の部員で、2030年8月20日からタイムマシンでやってきた」と告げる。
甲本たちはタイムマシンが使用中であることを詫び、現代の大学周辺を案内する。
田村は2030年の人間にしては旧式のカメラを愛用しており、それで町の風景を撮影していた。
特に町の名画座の存在に喜び、「2030年にはもうありません。お母さんがよく通ってたらしいです」と話す。
田村は過去の母親に会ってみることを思い立つが、甲本たちは「会うと産む気がなくなって未来が変わり、田村くんが消えるかもしれない」と押しとどめ、さらにカメラクラブの部員・柴田が「もし3人がリモコンを持って帰ってきても、今リモコンがない、という結果は変わらないのではないか」という疑問を提示する。
SFの話をしていると勘違いした名画座の支配人も話に加わり、タイムパラドックス談義が盛り上がると、偶然そこへ銭湯帰りのホセが通りかかった。
ホセは、パラレルワールドは不可能だとする自分の理論的立場から、「もしタイムトラベルが実現すれば、過去への干渉によって世界線に変化が生じた瞬間、この宇宙の全てが消えてなくなるだろう」と告げる。
宇宙消滅の危機に甲本たちが急いで部室に戻ると、空のタイムマシンが戻ってきていた。
3人に歴史改変をさせないうちに連れ帰るために、甲本と曽我は「昨日」へ向かう。
この時、たまたまホセが消えるタイムマシンを目撃し、衝撃を受ける。
「昨日」で曽我は、大学構内にいた小泉と石松を見つけ、すぐ「今日」に帰るよう説得する。
説得を受けた小泉と石松は、空のタイムマシンを「昨日」に送ることを約束し、「今日」に戻った。
その間、曽我は「昨日」のこのあと、コーラがかかるのに備えるため、リモコンにラップを巻きつけた。
小泉と石松は事の顛末を知り、さらに田村を引き連れて「昨日」に戻ってきた。
そこへ顔見知りの用務員が通りかかったので、「宇宙の消滅」を恐れた小泉・石松・田村はタイムマシンを隠すため、曽我をタイムマシンに乗せ、99年前(1906年8月19日)へ飛ばした。
当時の大学の敷地は沼であり、曽我は溺れる。
その様子を目撃した「99年前」の村人たちは、沼の中から突如、光とともに現れてすぐ消えた曽我をカッパと勘違いした。
「昨日」のそのころ、用務員は、99年前に沼に現れたというカッパ伝説の由来を「今日」の小泉・石松、そして田村に聞かせていた。
一方、甲本は銭湯にいた新見を見つけ、曽我の携帯電話に電話をかけるが、つながらなかったため、「全部うまくいった。今すぐにそっちに行くから」と留守番メッセージを残し、大学に戻る。
命からがら「昨日」に戻ってきた曽我は、ラップを巻きつけたきり持ったままだったリモコンを、「99年前」の沼に落としたことを甲本たちに明かした。
6人はこのあとの「昨日」の部員たちによるリモコンの故障が再現できないことに危機を感じる。
そこで甲本はすでに壊れた「今日」のリモコンを使うことを思いつき、単身「今日」に戻って、ホセにリモコンを返すよう迫るが、不器用なホセはリモコンを修復不可能なほどに破壊してしまったことを明かした。
甲本は失意で「昨日」に戻る。そのとき田村が「2030年の部室で同じ型のエアコンを使っているのを思い出しました。未来を変えるなら、未来に影響はないでしょう」と告げ、タイムマシンで2030年12月19日に向かい、「2030年12月19日の田村」からリモコンを受け取って、「昨日」の部室に置いた。
用事は済んだ、もうこの世界に用はない。
「今日」のSF研5人と田村は、「昨日」の部員たちと鉢合わせにならないように、急いでタイムマシンに乗り込むが、甲本だけ弾き飛ばされ、取り残される。
そこへ銭湯帰りの「昨日」の曽我・新見・小泉・石松が帰ってきた。
4人は「今日の甲本」に「隠してること、あるだろ?」と冷やかす。「今日の甲本」が事情を飲み込めないでいると、「昨日の曽我」が「この間違い電話の留守電が証拠ですよ」と、留守番メッセージを再生しはじめた。
「今日の甲本」が「今日の曽我」にかけたつもりの電話は「昨日の曽我」に通じていたのだった。
しかも「昨日」の4人は留守番メッセージを、「昨日の甲本」が秘密の交際相手に会うために4人と別行動を取ったように勘違いしていた。
「昨日」の部員たちははやし立て、「罰ゲームで、裸踊りをやれ」と笑って告げた。
「今日の甲本」は逃げようとするが、「昨日の甲本」が帰って来るのが見えたため、ロッカーに隠れる。
戻ってきたばかりの「昨日の甲本」は、他の部員たちから突然「約束の罰ゲーム、裸踊りを見せてもらおう」と告げられ、困惑する。
ロッカーの中の「今日の甲本」は、リモコン故障に至るすべてを見届け、理解し、疲れて眠りに落ちる。
タイムマシンで「今日」に帰ってきた5人は、甲本とはぐれたことをホセたちに告げるが、「昨日」からロッカーの中にいた「今日の甲本」が現れ、無事に再会を果たす。
そこへ大学内で放し飼いされている犬のケチャが、泥に覆われた細長い何かをくわえて持ってきた。
それは曽我が「99年前」に残してきた、ラップに巻かれたリモコンで、偶然ケチャが、かつて沼の底だったグラウンドの隅の地面を掘り返して見つけたのだった。
電池を入れると、めでたくエアコンの電源がつき部室内は歓喜の声が響く。
宇宙消滅に危機を救った田村も2030年8月20日に帰った。
その後、部室に再びタイムマシンに乗った田村が現れ、忘れ物のカメラを取りに戻ってきた。
田村は甲本にカメラを見せ、「お母さんが昔使ってたカメラだから、なくしたら叱られる」と話し、再び消えた。
よく見ると、田村のカメラは、甲本が好意を持つ柴田の持っている機種と同じものだった。
失恋を予感し落ち込んだ甲本は、SF研部員たちに「名字って変えられるのかな」とつぶやいた。